« 2010年3月 | トップページ | 2010年5月 »

2010年4月

2010年4月30日 (金)

ブラームス ヴァイオリンソナタ集/ムター、オーキス

Scan10052これは、昨年録音され最近発売されたアンネ・ゾフィー・ムター とランベルト・オーキスによるブラームスのヴァイオリンソナタ集である。

ムターは30年位前にもワイゼンベルクと組んでブラームスのヴァイオリンソナタを録音していたが、今回の新録音はムターの嗜好がより鮮明になった感じの演奏で、より自由にテンポや強弱を付けてムター節のブラームスに仕上がっている。で、それが成功しているかというとモーツアルトのソナタほど賛同できかねる。CDの時代になってからのブラームスのヴァイオリンソナタでは、デュメイとピリスのコンビによるものが素晴らしいと思うが、それと比べてしまうと、決して悪い演奏ではないけれど、もう少し何か足りないような気がしてならない。

| | コメント (0)

2010年4月27日 (火)

サンソン・フランソワ/ショパン 未発表録音集

002これは、サンソン・フランソワの死後に発売された仏EMIの2枚組のLPレコードである。1970年代初めごろの発売のもので、音質はかなり良い。

中には日本で録音されたマズルカ数曲、ポロネーズも含まれている。

Scan10050_2 これが、LPレコードのレーベル。CDの音質と比べると若干甘い感じはあるが、ピアノの音色の透明感や響きの良さが目立ち、CDでこのくらいの音で鳴ってくれたなら、もっとフランソワのショパンが魅力的なのに、と思ってしまう。

フランソワのLP同士で比較した場合、国内盤とフランス盤では音質が大きく違う。国内盤ならばLPにこだわるほどでもない。仏EMI録音のものは、当時の東芝EMIに届いたマスターテープが、フランス→英国→日本あるいは、フランス→英国→米国→日本というように、何回かダビングされたコピーだったりしたこともあるだろう。音質差が大きすぎる。

| | コメント (0)

2010年4月23日 (金)

ショパン録音集/フランソワ

Scan10051 これは、今年になって発売された、サンソン・フランソワのショパンを集めた10枚組のセットだ。値段は¥3000しない。1950年代から60年代にかけての彼のショパンをほぼ網羅している。

サンソン・フランソワのショパンは、一聴しただけで彼が弾いているとわかるい個性がある。それは、少しばかりワインを飲んでほろ酔い加減で弾いているような、独特のテンポやリズムがあって洒落ているのだ。そんな彼のピアノを私は愛する。

オリジナルもしくはオリジナルに近いLPレコードでこれだけの録音を集めようとするとかなり大変なのだが、それがお手ごろな値段で手に入るのは嬉しい。しかし、音質的にはLPではピアノの音色が綺麗で艶があって濃い。ピアノ協奏曲のオーケストラの弦はささくれ立ってしまっている。それが残念な点だが、値段を考えたら贅沢は言えないのかもしれない。

| | コメント (0)

2010年4月20日 (火)

フラメンコ・ギターの光と影 第二集/ビクトル・モンヘ・セラニート

001これは、1967年発売の国内盤LPで、ビクトル・モンヘ・セラニートのギター独奏によるフラメンコである。

彼は、ルセロ・テナの舞踊の伴奏もやっていた。それはこちらのLPなどでご紹介済みだ。

http://musickp.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_76ee.html

この人の昔の録音のものはなかなかCDで再発売されない。1960年代のもの同士で比べたなら、パコ・デ・ルシアのものより、伝統的なフラメンコのワビ、サビ、間の取りかたがそれらしく好ましい。音質的にスペイン盤が欲しいが、まだ見つけることが出来ていない。

| | コメント (0)

2010年4月16日 (金)

レハール メリー・ウィドウ/カラヤン、ベルリンフィル(SACD)

Scan10049これは、カルロス・クライバーの「こうもり」と共に発売されたSACD/CDハイブリッド盤。 ユニバーサル・グループ傘下のドイチェ・グラモフォンは、SACDの発売は積極的でないので、オーディオメーカーのEsotericが企画してオーディオ・ショップで販売している。一般のCD屋では入手できない。

この録音は1972年で、カラヤンとベルリンフィルの絶頂期と重なる。一言で言うと洗練されたこれ以上ないくらい美しい音楽に仕上がっていて、カラヤンの美的感覚が隅々まで生かされた演奏であり、オペレッタにありがちな猥雑な感じは薄められ、古典芸術の中のオペレッタという感じに仕上がっている。

配役も豪華である。テレサ・ストラータスのヴァランシエンヌもなかなかいい。彼女は、悪女であるベルクの「ルル」のタイトルロールを歌ったりヴァイルの歌曲を得意にしたりしているので、全く性格の違うこの録音でのヴァランシエンヌは以外というか、とっても良い。ルネ・コロのダニロは流石である。

CD層を聴いた場合でも音質は従来のCDとは比較にならない。細かい音が良く聴こえ弱音での美しさが映える。THE ORIGINALSでのリマスターCDがないので、この高音質での復刻はより貴重だと思う。カルロス・クライバーの「こうもり」だけ買ってこちらを買っていないあなた、これも手に入れておいたほうがいいですぞ!

この音源がSACD/CDハイブリッド盤で発売された背景には、プロデューサーの意向が大きく反映されているようだが、この音源の発売に踏み切った英断を讃えたい。

| | コメント (0)

2010年4月13日 (火)

J.シュトラウス こうもり全曲/ボスコフスキー、ウィーン交響楽団

001これは、1972年発売の「こうもり 」全曲のLPセットで、西独ELECTOROLAの初版盤である。これがオリジナル盤だと思う。個人的にどうしてもカルロス・クライバー盤と比較するように聴いてしまう傾向がある。

ウィリー・ボスコフスキーの指揮は、彼が長年ウィーンフィルのニュー・イヤー・コンサートでワルツやポルカを指揮していたのと同じような感じでこのオペレッタを振っているので、カルロス・クライバーのような神々しいテンポ感はないものの、ややまったりとした極めてウィーン的な感じのするもので、決して悪くないというか、本来の「こうもり」はこういった感じじゃないかと思わせる生粋のウィーンの香りがするものである。

また、配役も、クライバー盤に負けていない。ニコライ・ゲッダのアイゼンシュタインも良いし、アンネリーゼ・ローテンベルガーのロザリンデは、クライバー盤のユリア・ヴァラディよりも良家の奥様という感じで好ましいし、レナーテ・ホルムのアデーレも小間使いという感じを考えるとぴったりで、ルチア・ポップは立派過ぎのような感じがする。ブリギッテ・ファスベンダーのオルロフスキーは若い利発な貴族という感じがするのに対しクライバー盤のイワン・レブロフはどう聴いても爺さんのような感じになってしまっている。ワルター・ベリーのフランクも良いし、なんといってもディートリッヒ・フィシャー=ディスカウのファルケが絶品で、クライバー盤では十八番のポルカ「雷鳴と電光」を演奏している第2幕の部分で、この録音ではディートリッヒ・フィシャー・ディスカウが、J.シュトラウスのオペレッタ「くるまば草」から一曲歌っているのも聴きものだ。

録音はというと、オリジナル盤で聴く限り不満はない。この録音はとても好きなので、国内盤LP、英国初版LP、復刻CDなど聴いてみたが、いつも聴くのはこの西独ELECTOROLAの初版盤になってしまうので、他の盤は処分して手元に無い。

| | コメント (0)

2010年4月 9日 (金)

J.シュトラウス こうもり/クライバー、バイエルン国立歌劇場(LD)

001_2これは、1986年のライヴ映像のレーザーディスクで、現在はDVDで販売されているものだ。先のCDやLPの録音の10年後のものであり、配役が全く異なるが、舞台芸術として鑑賞するには、最初はやはり映像の方がいい。

この配役の中で、CDやLPの意図と全く異なるのが、オルロフスキー役だと思う。普通のテノールが歌うこともあるが本来この役はメゾソプラノがズボン役でやるものなので、この映像のほうがCDやLPよりも一般的だ。そして、この映像でのブリギッテ・ファスベンダーは素晴らしい。そもそも、CDやLPでのオペラ歌手でもないイワン・レブロフのカウンター・テノールによるオルロフスキーが異質で、どうしてもなじめない。その溜飲を下げてくれるのがこの映像である。

そういったこともあって、カルロス・クライバーの指揮は素晴らしいが、先にご紹介したCDやLPは、マイ・ベストの「こうもり」ではなく次点なのだ。マイベストの「こうもり」は、ウィリー・ボスコフスキーがウィーン交響楽団を指揮したEMI音源のもので、ニコライ・ゲッダのアイゼンシュタイン、アンネリーゼ・ローテンベルガーのロザリンデ、ブリギッテ・ファスベンダーのオルロフスキー、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウのファルケなどキャストも豪華で、極めてウィーン的な「こうもり」なのだが、不幸にして現役盤ではない。これもそのうちにご紹介しようと思う。

| | コメント (0)

2010年4月 6日 (火)

J.シュトラウス こうもり 全曲/クライバー、バイエルン国立歌劇場 SACD/CDハイブリッド盤

Scan10048これは、3月末に発売になった、クライバーの「こうもり」全曲盤のSACD/CDハイブリッド盤である。クライバーの「こうもり」は、この曲の決定盤というべきもので、アナログLPの時代からずっと評価が高いものだった。

クライバーの統率が素晴らしく、そのリズム感やテンポの変化や強弱の付け方は彼にしかできないもので、この曲を活き活きと描き出す。また、配役が豪華で、ヘルマン・プライのアイゼンシュタイン、ルネ・コロのアルフレート、ルチア・ポップのアデーレなど、これだけの素晴らしい歌手たちを揃えた実演など現在では到底不可能だと思う。

ユニバーサル・グループ傘下のドイチェ・グラモフォンは、SACDの発売は積極的でないので、オーディオメーカーのEsotericが企画してオーディオ・ショップで販売している。一般のCD屋では入手できない。

では肝腎な音質の方はどうか、手持ちの従来盤と聴き比べてみた。例によってCD層での感想である。まず、言えるのは広大なFレンジ、広大な音場を持つということにおいては、SACD/CDハイブリッド盤が圧倒的に勝る。声やオーケストラの質感もアナログLPには負けるが従来のCDよりはずっと良い。そして音が非常にクリアな印象だ。同じシリーズで発売されたムラビンスキーのチャイコフスキーのSACD/CDハイブリッド盤のオーケストラの質感には正直がっかりしたが、この盤は録音が1975年とまだ新しいこともあって、かなり良好に保たれている。

Scan10047_2 これは、1980年代終わりごろに発売された最初の復刻CD(独415646-2)。帯域は一番狭く高域がやや硬い感じがする。帯域が狭いことではエネルギーバランスはオリジナルLPに一番近いが、LPと比べると線が細く音がややがさつな感じがする。

Scan10045_2 これは、1990年代終わりごろに発売されたTHE ORIGINALSの復刻盤(独457765-2)。最初の復刻CDよりも音に厚みや潤いが増していて、かなり良くなったと感じた。しかし、声やオーケストラの質感はオリジナルLPにはかなわない。SACD/CDハイブリッド盤とくらべると、細部がぼけていてレンジも狭い。

001 これは、オリジナルLP盤(独2707088)。オリジナル盤のボックスは豪華な布張りで立派な装填である。1976年発売。Fレンジは、SACD/CD盤と比べると狭く、ダイナミックレンジも狭い。冒頭の「序曲」や第二幕の挿入曲「雷鳴と電光」を聴いただけで低域の質感や低音のホール全体への回りこみが少ないことで、明らかな違いがわかる。また、舞台上のざわめきや様々な雑音などがSACD/CD盤の方がクリアで広く自然であり、改めてSACD/CDハイブリッド盤の良さを実感した。

しかし、いずれのCDやSACD/CD盤にもない良さが、このオリジナル盤にはある。オーケストラの楽器の厚み、独特の質感や輝き、声の美しさ、音色の濃さなどはLPが最上であり、これからはLPを取り出す機会は減るだろうが、まだまだ捨て去るわけにはいかない。

| | コメント (0)

2010年4月 2日 (金)

フックス 無伴奏ヴィオラ作品集/マロー

Scan10042このCDは、ヴィオラ奏者であったリリアン・フックス (1902~1995)が作曲した無伴奏ヴィオラのための独奏曲ばかりを集めた2枚組のセットである。リリアン・フックスの兄はヴァイオリニストとして有名なヨゼフ・フックスである。そして、このCDでヴィオラを演奏しているジャンヌ・マローは、リリアン・フックスの孫だ。

弦楽器族のなかでヴァイオリンより5度低くチェロより1オクターヴ高い音が出て、その2種の楽器よりは地味なヴィオラ。でも、オーケストラでも弦楽四重奏でもヴィオラが無ければ成り立たない。

このCDにおさめられた曲は作曲者自らの練習曲としても演奏されたようだが、ヴィオラをヴァイオリンのように操れなければ弾くことはできないヴィオラの能力を極限まで引き出した独奏曲ばかりで演奏は難しい曲だと思う。バッハやイザイの無伴奏ソナタなどと比較すれば地味な感じはするけれど、ヴィオラを演奏する人は聴くなり演奏するなりすべき曲だろうと思う。

| | コメント (0)

« 2010年3月 | トップページ | 2010年5月 »