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2010年4月 6日 (火)

J.シュトラウス こうもり 全曲/クライバー、バイエルン国立歌劇場 SACD/CDハイブリッド盤

Scan10048これは、3月末に発売になった、クライバーの「こうもり」全曲盤のSACD/CDハイブリッド盤である。クライバーの「こうもり」は、この曲の決定盤というべきもので、アナログLPの時代からずっと評価が高いものだった。

クライバーの統率が素晴らしく、そのリズム感やテンポの変化や強弱の付け方は彼にしかできないもので、この曲を活き活きと描き出す。また、配役が豪華で、ヘルマン・プライのアイゼンシュタイン、ルネ・コロのアルフレート、ルチア・ポップのアデーレなど、これだけの素晴らしい歌手たちを揃えた実演など現在では到底不可能だと思う。

ユニバーサル・グループ傘下のドイチェ・グラモフォンは、SACDの発売は積極的でないので、オーディオメーカーのEsotericが企画してオーディオ・ショップで販売している。一般のCD屋では入手できない。

では肝腎な音質の方はどうか、手持ちの従来盤と聴き比べてみた。例によってCD層での感想である。まず、言えるのは広大なFレンジ、広大な音場を持つということにおいては、SACD/CDハイブリッド盤が圧倒的に勝る。声やオーケストラの質感もアナログLPには負けるが従来のCDよりはずっと良い。そして音が非常にクリアな印象だ。同じシリーズで発売されたムラビンスキーのチャイコフスキーのSACD/CDハイブリッド盤のオーケストラの質感には正直がっかりしたが、この盤は録音が1975年とまだ新しいこともあって、かなり良好に保たれている。

Scan10047_2 これは、1980年代終わりごろに発売された最初の復刻CD(独415646-2)。帯域は一番狭く高域がやや硬い感じがする。帯域が狭いことではエネルギーバランスはオリジナルLPに一番近いが、LPと比べると線が細く音がややがさつな感じがする。

Scan10045_2 これは、1990年代終わりごろに発売されたTHE ORIGINALSの復刻盤(独457765-2)。最初の復刻CDよりも音に厚みや潤いが増していて、かなり良くなったと感じた。しかし、声やオーケストラの質感はオリジナルLPにはかなわない。SACD/CDハイブリッド盤とくらべると、細部がぼけていてレンジも狭い。

001 これは、オリジナルLP盤(独2707088)。オリジナル盤のボックスは豪華な布張りで立派な装填である。1976年発売。Fレンジは、SACD/CD盤と比べると狭く、ダイナミックレンジも狭い。冒頭の「序曲」や第二幕の挿入曲「雷鳴と電光」を聴いただけで低域の質感や低音のホール全体への回りこみが少ないことで、明らかな違いがわかる。また、舞台上のざわめきや様々な雑音などがSACD/CD盤の方がクリアで広く自然であり、改めてSACD/CDハイブリッド盤の良さを実感した。

しかし、いずれのCDやSACD/CD盤にもない良さが、このオリジナル盤にはある。オーケストラの楽器の厚み、独特の質感や輝き、声の美しさ、音色の濃さなどはLPが最上であり、これからはLPを取り出す機会は減るだろうが、まだまだ捨て去るわけにはいかない。

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