モーツァルト 交響曲35、40、41番/クーベリック、バイエルン放送交響楽団(SACD/CDハイブリッド盤)
3月10日に発売になったばかりのEsotericのSACD/CDハイブリッド盤を手に入れた。例によってSACDプレーヤーを持っていないので、CD層を聴く事になるが、それでも従来のCDより格段に良い音で聴けることが、このシリーズの良いところである。
このモーツァルトの交響曲の演奏は、温かみがあり渋みのある弦セクション、抜けが良くてよく歌う木管セクションのバイエルン放送交響楽団の上手さとクーベリックのモーツァルトの解釈が素晴らしいことがわかる演奏である。モーツァルトの交響曲は、おびただしい数のLPレコードやCDが発売になっていて、様々なものを聴いてあまり聴かなくなったものは中古屋さんに行ってしまうのだが、このクーベリックのものはLP時代から愛聴していて、いまだにLPレコードは処分されずに残っている。
これは、1980年代の初めごろにCBSソニーがMASTERSOUNDシリーズとして発売したLPレコードで、通常盤よりも手間をかけて製作されており、当時の価格で¥3200だったもの。通常盤が¥2000~¥2500だった時代のものであるので、高価な印象だった上に演奏が気に入っているので、今まで手放さなかった。
オーケストラの第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンのセクションが通常とは異なり、左右に分かれているので、例えば、41番の第四楽章の三重フガートでの第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンが左右から聴こえ、モーツァルトの音楽の素晴らしさを浮かび上げる。弦はいぶし銀のように渋い音色、木管楽器は優しい質感を保ち、素晴らしい音質で復刻されている。1980年の初期デジタルのいわゆるデジタル臭さは気にならない。
ラファエル・クーベリックは、録音が少ないことで、現在ではその実力より過小評価され、半ば忘れられかけた指揮者になろうとしている気がしてならなかったが、今回のこのSACD/CDハイブリッド盤で少しは見直されるのではなかろうか。
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