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2013年1月13日 (日)

メンデルスゾーン 交響曲3番他 / ボッセ、神戸市室内管弦楽団(LP)

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これは、現在LPレコードでしか発売されていないもので、2011年6月11日、神戸文化ホールでのライヴ録音。序曲「美しいメルシーネの物語」と交響曲3番「スコットランド」がカップリングされたもの。

私にとって、ゲルハルト・ボッセは、指揮者よりも往年のゲヴァントハウスのコンサートマスター、室内楽でのヴァイオリニストとしての印象が強い人だ。東独ETERNAに残されたベートーベンやバッハなどは、渋く漆黒の響きがし戦前のスタイルを残した古典的名演奏で個人的に愛聴盤もある。録音の良さもあって現在でも立派に通用する演奏だと思う。そんなボッセが長く音楽監督を務めた日本のオーケストラの指揮をしたメンデルスゾーンがどんな演奏なのか、非常に興味深く聴かせてもらった。

序曲「美しいメルシーネの物語」と交響曲3番「スコットランド」いずれも、90歳にならんとする高齢の指揮者のものだとは到底思えない。音楽は若々しくフレッシュなのである。この演奏からは、枯れた味わいとか老成というのは聴き取れない。編成の小さな室内オケーストラであるから、全奏のときの迫力はすくないが、そのかわり各パートの折り重なりが明晰になっていて、細部まで気を配られた緻密な演奏だ。まるで湖面を泳ぐ水鳥のようで、すいすいと音楽が進んでいく。湖面には美しい風景が映り、空は晴れている。このLPレコードのジャケットの色は水色~明るい青であるが、全くもってイメージにずれがない。

音質的にも水準が高いと思う。ライヴ録音なのに、各演奏者の演奏は確かであり、聴いてわかる明らかなミスはなく、観客によるノイズは少なく、完成度はスタジオ録音並みである。それでいて、交響曲3番「スコットランド」の終曲時には、ライヴらしい大きな拍手と「ブラボー」の声が聞こえる。デジタル録音の明晰さとアナログLPの軟らかさ暖かさが同居したとても良い音源であると感じた。

一つ、気になるのは、この音源はCDで発売されるのかどうかである。現状だと、LPレコードをかけられる環境にある人しかこの演奏が聴けない。これはとてももったいないことだと思うのである。製作者側が、LPレコードというメディアの方がこの演奏をより質高く聴き手に伝えられると判断したのだろうか。

私の手に入れた新しい録音のものでLPレコードでしか買えないものが他にも1つあった。それもメンデルスゾーン交響曲3番「スコットランド」で、ドイチェ・グラモフォン/ユニバーサルから昨年発売されたグスターヴォ・ドゥダメル/ウィーンフィルによるものだ。ほぼ同じ時期に同じ曲でLPのみの発売なのでついつい比較してしまう。プレスの質は、このボッセ/神戸市室内管弦楽団の方がサーフェスノイズが少なく、良い。

まだ30歳くらいのドゥダメルと89歳のボッセ、音楽の若さは同じくらい若い。ドゥダメルの演奏が大編成のオーケストラをぐいぐい引っ張って纏め上げているものに対して、ボッセは、より緻密な描写をした音楽に仕上げ、対極的な演奏ではあるが、いずれも名演奏だと思う。クラシック音楽のLPファンの方々、両方買って損はありません。両方とも楽しみましょう。

尚、ゲルハルト・ボッセが、ゲヴァントハウスのコンサートマスターだった1960年代後半に録音した2枚のLPレコードのジャケット写真を挙げておく。

ベートーヴェン/ピアノ三重奏曲第7番「大公」
ギュンター・コーツ(ピアノ)/ゲルハルト・ボッセ(ヴァイオリン)/フリーデマン・エルベン(チェロ)

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バッハ/「フルート・ヴァイオリン&チェンバロのための協奏曲」&「三つのヴァイオリンのための協奏曲」 ゲルハルト・ボッセほか(ヴァイオリン)/ハインツ・ヘルズイッヒ(フルート)/ゲルハルト・ボッセ(指揮)/ゲヴァントハウス-バッハ管弦楽団

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コメント

こちらでは初めまして(多分)ですね。ぺるけさんのところでお目にかかってるとは思いますが。
神戸市室内合奏団の定期演奏会をここ何年か記録録音をしていますが、一昨年LP化の話がもちあがり今回の盤となりました。ボッセ氏や奥様に大変喜んでいただいて、作っておいてよかったと思っています。同合奏団は若手の演奏者で纏められていますが、氏の薫陶を受け高い水準に達していると思います。
一昨年3/10にブランデンブルグ協奏曲全曲の演奏会があり、それも記録していました。3/12に紀尾井ホールでも同プログラムで演奏会が予定されていて、そのライヴをCDでリリースすることになっていたそうです。残念ながら震災により流れてしまったのですが、神戸での記録がCDでリリースされています。ある音楽雑誌に「震災前の演奏か後の演奏かを意識して聴くようになった」といったようなことが書かれていました。
今あの録音を聴くと確かにそんな思いがよぎります。
長くなりましたが、ぺるけさんの板でも宜しくお願いします。

投稿: ヨシザワ | 2013年1月13日 (日) 23時23分

レコード製作された方からの直々のコメント、大変ありがたく、また恐縮しています。
このLPレコード、レコード芸術でもとりあげられて、準特選盤にもなっているだけあって、大変素晴らしいものになっています。

私が書いた賛辞は、誇張でも何でもありません。素晴らしいLPレコードを作ってくださって有難うございました。これからも楽しませていただきます。

投稿: 黄金のアンコール | 2013年1月14日 (月) 09時22分

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