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2013年1月10日 (木)

プッチーニ トスカ/カラス、ベルゴンツィ、ゴッビ他、プレートル、パリ音楽院管(ESOTERIC SACD/CDハイブリッド盤)

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これは、ハイエンド・オーディオ機器メーカーのESORERICが25周年を記念して、昨年12月に発売した9枚組のオペラのボックスセットの中の一組。カラスの「トスカ」、「カルメン」、カラヤンの「サロメ」、「アイーダ」 の、4つのEMI音源のオペラをまとめたものだ。1500セットの完全限定発売だということであったが、すでにESOTERICには在庫はなく、流通在庫のみになっている。オペラを音のみで楽しむ人がまだ大勢居ることに心強い思いがする。

ESOTERICのハイブリッド盤はCD層も丁寧に高音質化されていて、SACDプレーヤーを持っていない人にも、その恩恵にあずかることができる。私はオペラが好きで、SACDによる高音質化はオペラに絶大な効果があると感じているが、実際にはオペラ全曲盤のSACDはそれほど多くはなく、まだSACDプレーヤーを所有していない理由のひとつがソフトの少なさである。だから、音質については、CD層を聴いてのものだ。

マリア・カラスの声は1957年ごろから重くなって、力で押すような歌い方をするようになっている。そして、この録音の数年後には引退する。1923年生まれであるから、まだ、1964年当時でも40歳を少し超えたばかりなのになぜなのかは、カラスの声は本来はメゾ・ソプラノに適しているのに、コロラチューラソプラノが歌うようなものを歌い、驚異的な高域と普通のコロラチューラソプラノにはない劇的な力強さを持ち、さらに天性とも言える感情移入によってもたらされたものだからだ。そういう意味で、カラスに匹敵する歌手は今後は出現しない。

同じコロラチューラ・ソプラノでも、サザーランドやグルヴェローヴァが50歳を超えてもなお現役でコロラチューラの主役を歌える声を保ったのとは違う。カラスは高域をしぼりだして歌うような感じだから、当然無理があり、歌手としての寿命は短かった。また、カラスの声は決して美声ではない。このような古い録音物であっても、鬼気迫るような感情移入が、聴き手を感動させ、虜にするのだ。

マリア・カラスの「トスカ」のスタジオ録音は2つあり、1953年のモノラル盤、そして1964年のステレオ盤(本盤)だ。音楽的には、1953年のデ・サーバタ盤にはどうしても劣る。いずれも、通常CD、オリジナルに近いLPを所有して聴いているが、CDの音のボロさにはうんざりしていた。ところがこのハイブリッド盤は、相当に良い音質に仕上がっている。厚みのある歌声の実在感は、今までLPでしか味わえなかった。またLPに比べ音場が広く、オペラハウスに居るような雰囲気みたいなものはこのハイブリッド盤の方が感じられ、相当に楽しめる盤である。録音の良さは1964年のステレオ盤が圧倒的に良い。この当時の11年の差は、本当に大きい。

本盤の解説で、諸石幸生氏が、初めて聴いたとき以上の感動体験だったと書いているが、通常CDや国内盤のLPでしか聴いていなかったならば、そういう体験が出来るものと確信するだけの音源に仕上がっている。気になる部分は、弦の質感がややメタリックになることであるが、これはSACD層ならば気にならないのかも知れない。手持ちのLPでは、声に実在感があり弦も綺麗に聴けるが、通常CDでは国内盤でも輸入盤でも、このESOTERIC盤のような実在感のある声は聴けない。

尚、本盤には、対訳は付いていない。また、LP時代の解説書と比べて資料的価値のある記載は少ない。でも、通常CDとくらべてこれだけ音質が良くなっているのだから許せてしまう。

尚、このCDの解説には付いておらずに手持ちのLPのリブレットに載っていた写真を挙げてみた。

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カルロ・ベルゴンツィのカヴァラドッシ

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コヴェントガーデンでのカラスとゴッビ トスカ第2幕から

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録音時のベルゴンツィ、カラス、ゴッビ、トラーマ

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左上:ウーゴ・トラーマ      右上:レナート・エルコラーニ

左下:レオナルド・モンアーレ  右下:ジャルジョ・タデオ

この9枚組のセットは、大切な宝物になると思う。ところで、今年はESOTERICの前身であるTEACの創立60周年にあたるので、それを記念してまた、このセットに匹敵するような素敵なソフトを出してもらえないだろうか?

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