R.シュトラウス 「サロメ」全曲/カラヤン、ウィーンフィル、ベーレンス、ベーム、バルツァ、ダム他 (ESOTERIC SACD/CDハイブリッド盤)
これは、ESOTERICが昨年12月に発売した、カラヤン、カラスの4つのオペラセットのうちの1つ。録音は1979年で、アナログ末期である。カラスの「カルメン」「トスカ」、カラヤンの「サロメ」「アイーダ」の4つの演目のうちで、オーディオ的に話題性の高いのはこれだろう。
この録音は、実は、DECCAの録音スタッフによって行なわれた。録音機材もDECCAのものを借りたから、実際にはDECCAが録音したようなものだ。実際、この録音は、他のEMIのオペラ録音とくらべオーケストラが聴き手に近いように録音されていて、低弦の響きやダイナミクスなどは、DECCAの録音そのもののようである。
私はオペラ好きであるがワーグナーは苦手、R.シュトラウスも「サロメ」や「エレクトラ」はどちらかというと苦手。「薔薇の騎士」「アラベラ」「ナクソス島のアリアドネ」などは大好きで、演目に好き嫌いが激しい。だから、「サロメ」はあまり期待していなかった。ところが、この演奏は凄い。R.シュトラウスを得意中の得意としたカラヤンの真骨頂みたいなもので、このオペラの複雑なオーケストレーションを露にし、カラヤンならではの細部まで磨き上げられた美的感覚が活きている素晴らしいものだ。
歌手陣の踏ん張りも素晴らしい。ベーレンスは美しくかつドラマチック、スケールの大きさはショルティ盤のニルソンに負けるかもしれないが、この録音だけで、後世まで記憶されるであろう。7つのヴェールの踊りから後の部分は、何か神がかったような特別なものにとりつかれたような気がするくらい。
聴いたのはCD層だが、CD層も非常に丁寧にリマスタリングしてくれている。こんなに素晴らしい音質で復刻発売してくれたESOTERICさん、有難う。
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