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2013年2月

2013年2月28日 (木)

ヴェルディ ルイーザ・ミラー/モッフォ、ベルゴンツィ、クレヴァ、RCAイタリアオペラ管他

Moffo

これは、1960年代後半に録音され発売された3枚組LPレコードセットで、20年以上前に中古レコード屋さんで見つけ、ボックスのアンナ・モッフォの顔写真が美しいので買ってきた(いわゆるジャケ買いというやつ)もの。

Swscan00927

犬の後ろに黒っぽい楕円状のボカシのないレーベルで、これがこのセットの米国初出のもの。

先月(2013年1月)に、ヴェルディ全集という75枚組の格安CDボックスが出て、暇をみつけては順番に聴いている。その中にも、ルイーザ・ミラーは入っていて、DECCAが1970年代半ばに録音したペーター・マーク盤であった。これは、単独のセットも持っていて、見事にダブリである。

Luiza

マーク盤を聴いたあと、このクレヴァ盤のLPを聴いてみたのだ。

アンナ・モッフォのルイーザは、やや声が暗い。1960年代前半の頃のリリックな美声が劣化しつつあるのが、LPレコードからもわかる。しかし、この悲劇のヒロインという意味でわずかに暗さを感じる声は全くマイナスになっていない。

極めつけは、カルロ・ベルゴンツィのロドルフォ。マーク盤でのパヴァロッティを聴いた後でも、美しさで全く聴き劣りしないどころか、むしろ、パヴァロッティが真正のテノールバカに感じてしまう。クレヴァの指揮は堅実で職人肌のオペラ指揮者という感じ。音質は、かなり良く、1960年代後半の水準をかなり上回る。RCAも気合を入れて録音したのだろう。

ルイーザ・ミラーは、1998年2月になって、やっと名古屋で日本初演があった。そのときの11日(祝)の公演を私は見ている。指揮:若杉弘、ルイーザ:林康子、ロドルフォ:市原多朗、ミラー:直野資、演出:栗山昌良という豪華な布陣であった。なかなか良い公演だったので今でも覚えている。そもそも、この公演を見たくなった理由が、このクレヴァ盤の「ルイーザ・ミラー」を聴き、日本では全く上演されなかったのにヴェルディ中期の「リゴレット」「トロヴァトーレ」と同じように魅力的な歌が次から次に出てくるヴェルディらしい演目だというのを知ってしまったから。

ジャケ買いのLPが、実演を見たいと思わせて実際に見てしまった。私にとって、クレヴァ盤の「ルイーザ・ミラー」はそういう魅力があったのだと、改めて感じた。

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2013年2月26日 (火)

ブラームス ヴァイオリンソナタ全集/シェリング、ルービンシュタイン(Blu-spec CD2)

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ヘンリク・シェリング/アルトゥール・ルービンシュタインのコンビによるブラームスのヴァイオリンソナタは、録音され発売された半世紀前から変わらぬ名盤である。これは、昨年12月に発売されたBlu-specCD2の復刻盤。

Blu-specCD2の復刻は、ヴァイオリンがカサつかず、倍音が綺麗に再生されるので艶のある音色や奏者がどのように弾いているのかなど、細かい部分もかなり表現されるものが多いのでこの盤も買ってみた。

演奏は、ピアノがどっしりと支えながら主導権を握り、ヴァイオリンが端正な音色を持って、表現過剰にならず、味わい深いブラームスになっている。何回聴いても飽きの来ない演奏である。味は濃すぎないが、出汁は利いている演奏であるとも言える。

ヘンリク・シェリングは、メキシコで教鞭をとっていたのだが、1956年にメキシコに演奏旅行に来たアルトゥール・ルービンシュタインに認められ、楽壇の表舞台に出てきた人である。ルービンシュタインとの出会いが無ければ、その後の活躍もなく多くの録音も残されることは無かったであろう。この録音は、その数年後に行われたものだ。

もともと、ステレオ初期のRCAの録音は定評があり、この当時としてはかなり水準の高い音質だと思う。特に感じたのは、高域の過剰なにぎやかさが無くなり、透明感と潤いのある音質にまとめられていることである。この録音が、私のこの曲の第一のお気に入りなので再発のLPや以前の復刻CDも持っているが、これからはこの盤で楽しむことになろう。

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2013年2月21日 (木)

シューベルト アルペジョーネ・ソナタ他/マイスキー、アルゲリッチ(180g重量盤限定LP)

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昨年12月に、ユニバーサル音源のデジタル初期の音源のものが5タイトルばかり、180g重量盤LPで発売になった。この手の復刻LPは音質やプレスの質の当たり外れが激しいので、1タイトルだけ、ミッシャ・マイスキー/マルタ・アルゲリッチによるシューベルト・アルペジョーネ・ソナタを買ってみた。

この重量盤LPは韓国ユニバーサルが企画したものなので、帯にハングル文字がある。しかし、カッティングからプレス、ジャケットの製造まで全てヨーロッパでやっており、入念な製作のためか極めて音質が良い。CDでは輸入盤も持っていてその音質を比べたが、このLPの音質は素晴らしく鮮明で音色も良く、CDを再生するのにCDプレーヤーなどにいくらお金をつぎ込んでも、LPの音質には到底届かない、そんな感じを受けた。そんなわけで残りの4タイトルも注文した。

このLPはDECCAレーベルから発売されていて、レーベルも往年の1980年代のDECCAレーベルと同様のデザインが用いられている。

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フィリップスはユニバーサルミュージック傘下に入り、クラシック部門がデッカミュージックに入って、数年前からクラシックのフィリップス原盤でのPHILIPSのロゴが使用されることが無くなってDECCAに変更された。その結果、このLPもオリジナルとは異なる仕様になっている。

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これが当時のPHILIPSレーベルのもの。録音は1984年である。二人ともまだ若い。

ところで、このアルペジョーネ・ソナタは、アルゲリッチの個性的なテンポの変化によるピアノにマイスキーがインスパイアされ、スリリングな演奏を繰り広げている。私は、20年近く前に、マイスキーの弾くアルペジョーネ・ソナタの実演を聴いたことがあるが、そのときのピアノはダリア・オヴォラで、この録音とは演奏が大きく違っていた。

アルペジョーネ・ソナタは、アルペジョーネというギターのように6弦でフレットが付いているものを弓で弾く今はほとんど見ることができない楽器のために書かれたので、チェロやヴィオラで弾かれることが多い。シューベルトらしい美しい曲である。また、B面に収録されているシューマンの小品も、緩急の付け方が極端な個性的な演奏だが、歌うところは良く歌い、素晴らしい演奏になっている。初出から四半世紀以上を経てもエバーグリーンの名盤である。

LPレコードは、時代遅れで20世紀の遺物だと思っている方も居ると思うが、21世紀になってから復刻されたLPレコードで、現行のCDよりも圧倒的に音が良い物も存在する。これは、そういう1枚である。

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2013年2月19日 (火)

ドヴォルザーク チェロ協奏曲、他 /タウアー、マーツァル、チェコフィル(TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION)

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これは、今から5年以上前にタワーレコードから限定発売された国内盤のCDであるが、これが、なんとLP、CDを含め本邦初出だったらしい。毎月おびただしいほどのCDが発売されているのに、こんな素晴らしい演奏のものを今まで発売しなかったのは、レコード会社の怠慢だと思う。

収録曲目

ドヴォルザーク: チェロ協奏曲 1968年録音

レーガー: 無伴奏チェロ組曲 3番  フランセ:チェロとピアノのための幻想曲 1964年録音

このブログを書くのにあたって、タワーレコードのサイトを見たら、嬉しい事にまだ現行盤として販売されている。この盤は、ドヴォルザーク:チェロ協奏曲が好きな方は、是非、聴いて欲しい。この盤は千円ではもったいないくらいの価値がある。音質も良く、良い復刻盤である。

アニア・タウアーという1945年生まれのドイツの女流チェリストは若くして亡くなり、残したレコードもこのCDのものをはじめとして、わずかしかない。しかし、このCDから聴けるチェロは、他の名演奏のドヴォルザーク: チェロ協奏曲と比べても決して聴き劣りしない。大きなテンポの変化や個性的なフレージングはないが、曲に向かって感情をぶつけ、肉を切らせて骨を断つような真剣さが感じられる。マーツァル/チェコフィルも、自分達のお国の名曲であることも手伝ってか、ダイナミックな表現の中にボヘミア的なロマンを感じさせる演奏でもりたてている。

レーガー: 無伴奏チェロ組曲 3番 とフランセ:チェロとピアノのための幻想曲も、確かなテクニックで演奏していて、これらの曲の魅力を引き出しているし、フランセ:チェロとピアノのための幻想曲 の方は、作曲者自身がピアノを弾いているのも大きい。フランセは、パリ音楽院のピアノ科を首席で卒業したほどの名手であり、このCDで聴けるピアノは美しくチェロとのかけ合いも冴えている。貴重な記録である。

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これが、ドヴォルザーク: チェロ協奏曲のオリジナル盤のジャケット写真。当時、アニア・タウアーは20歳代前半だったはずで、チャーミングな女性だったのがわかる。28歳で突然亡くなったということだが、既婚の医師との恋愛の結果、相手が自殺し自らも後を追うように命を絶ったという。でも、このCDに聴ける彼女のチェロはそんなことは関係なく素晴らしい。

アニア・タウアーと同世代の女流チェリストというと、EMIに録音を残したジャクリーヌ・デュ=プレ、Philipsに録音を残したクリスティーヌ・ワレフスカが挙げられる。デュ=プレは難病を患い1970年代半ばには引退同然であったし、ワレフスカは結婚してアルゼンチンに引っ込んでしまい表舞台から長らく消えていた。この3人の録音はみんな良いものが多く、チェロという楽器が好きならば、是非とも聴いておきたい。

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2013年2月14日 (木)

パガニーニアーナ/ミルシテイン(TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION)

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これは、タワーレコードが、仙台店3周年を記念して2011年秋に発売したもの。録音は1976年で、LPレコードが発売されたのは1980年代半ばで、その後CD化されたが廃盤になっていた。このオリジナルLPレコードについては、このブログで既に書いた。

http://musickp.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/lp-55fb.html

タワーレコードは、廃盤になっている魅力のある音源を独自に限定で発売している。値段も1枚ものが¥1000と手ごろであり、しかも、音質は通常の国内盤と何ら変わりない。この「パガニーニアーナ」も、とても良い復刻で、音質的には当時のアナログらしい音質を保っている。

ジェミニアーニ ソナタ イ長調

シューベルト 華麗なるロンド

ミルシテイン パガニーニアーナ

リスト コンソレーション 3番

ストラヴィンスキー ロシアの歌

コダーイ 巷に雨の降るごとく

ムソルグスキー ホパーク

これらはみなミルシテインの十八番であり、中には1950年代のモノラル時代に録音したものもあるが、70歳を超えた老大家は、いささかのテクニックの衰えも感じさせない。1曲目のジェミニアーニは何て美しく高貴な演奏だろうと感じるし、自作自演のパガニーニアーナは唯一無二、この曲が好きならばこれは是非聴いておきたい。

収録時間が全部で40分弱だが、オリジナルLPと全く同じ曲目が収録されているからで、ジャケットデザインもオリジナル盤と同一だというのは嬉しい。

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2013年2月12日 (火)

1989ニューイヤーコンサート/クライバー、ウィーンフィル(Blu-spec CD2)

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これは、昨年12月に発売された、Blu-spec CD2による1989年のニューイヤーコンサート。内容は以下のとおり。2枚組のセットである。

CD1
1. ヨハン・シュトラウス2世:加速度ワルツ
2. ヨハン・シュトラウス2世:田園のポルカ
3. ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ『わが家で』
4. ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ・マズルカ『とんぼ』
5. ヨハン・シュトラウス2世:喜歌劇『こうもり』序曲
6. ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ『芸術家の生活』
7. ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ『風車』

CD2
1. ヨハン・シュトラウス2世:ポルカ『ハンガリー万歳!』
2. ヨハン・シュトラウス2世:ポルカ『クラップフェンの森で』
3. ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ『春の声』
4. ヨハン・シュトラウス2世&ヨーゼフ・シュトラウス:ピチカート・ポルカ
5. ヨハン・シュトラウス2世:オペラ『騎士パズマン』チャルダーシュ
6. ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ『おしゃべりなかわいい口』
7. ヨーゼフ・シュトラウス:ジョッキー・ポルカ
8. ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ『美しく青きドナウ』
9. ヨハン・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲

演奏に関しては、毎年行われるニューイヤーコンサートの中でも、今でも語り継がれるほどの名演奏なのであるが、従来のレギュラー盤CDだとデジタル初期のライブ録音ということで、音質的にはいまいちだった。それがBlu-spec CD2になって、ウィーンフィルらしい弦セクションの響きや決して派手に響かない管セクションの音質が、見事に再生できる。従来盤だと微細な部分が聴き取れなかったが、これはそういったことがない。

レギュラー盤だと、1992年のニューイヤーコンサートの分も含め3枚組になっていて、本セットとほとんど変わらないくらいの値段で買えるのであるが、1989年のものの方が演奏が優れる上、音質の違いが大きいので、音質にこだわるならこの演奏に関しては、Blu-spec CD2盤を薦める。出来る事なら、1992年のやつもBlu-spec CD2で出して欲しいのだが。SONYさん、お願いします。

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2013年2月 7日 (木)

ドヴォルザーク 交響曲9番「新世界より」、他/バーンスタイン、ニューヨーク・フィル(Blu-spec CD2)

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このCDは、昨年12月に発売になったBlu-spec CD2盤で、内容は以下の通り。全部で80分近く入っている。

ドヴォルザーク 交響曲 第9番「新世界より」(1962年録音)

          序曲「謝肉祭」(1965年録音)

          スラヴ舞曲 第1番、第3番(1963年録音)

スメタナ     歌劇「売られた花嫁」より序曲(1963年録音)

          歌劇「売られた花嫁」より3つの舞曲(1965年録音)

レナード・バーンスタインが1958年にニューヨーク・フィルの音楽監督になって数年たち、このオーケストラがかつて無いほどに充実した音楽を奏でていた時代のものである。この中の新世界交響曲は、私が最初にLPレコードで聴いたもので、新世界交響曲の刷り込みはこの演奏でされ、非常に愛着がある。LPレコードでは、新世界交響曲の余白にはスメタナの「モルダウ」が入っていたのを覚えている。

この新世界交響曲の演奏は、フレッシュで推進力があり明快で、ややドライなアメリカ的な演奏で若さを感じるものだ。そして、その表現は現時点で聴いても決して古臭くない。ボヘミア的なわびさびは感じられないが、当時の鍛えられたニューヨーク・フィルの上手さがとても良くわかる。この時代の新世界交響曲のCDには、ケルテス/ウィーンフィル(1961年)やフリッチャイ/ベルリンフィル(1959年)などの名盤があるが、これらとはまた違ったアプローチではあるが、勝るとも劣らない演奏であると思う。そのほかの曲の演奏も質が高くSONY CLASSICAL BEST100の中にいまだに残されているのも頷ける内容のものだ。

全て1960年代前半の録音だが、丁寧にリマスターされBlu-spec CD2でプレスされたためか、当時の良質のアナログっぽい音質をかなり保っていて、鮮明で中域に厚みがあり聴きやすい。このくらい音質が良ければ、あえてLPレコードで聴かなくても良いと思える。ブルーノ・ワルターの録音のでもそうだが、古い録音のものでも丁寧に製作してあるのか、私の一連のBlu-spec CD2盤の個人的音質評価は高く、満足できるものだ。

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2013年2月 5日 (火)

ミラクル・ヴォイス /ナタリー・デセイ

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これは、ナタリー・デセイの1995年から2005年までの録音の良いとこ取りをしたような2枚組のベスト盤。2006年の秋に発売されたものだが、最近、このCDがわずか721円で売り出されたので買ってみた。

曲目は以下のとおりで、多くはコロラチューラ・ソプラノのレパートリーで、フランス・オペラが多い。また、ドニゼッティ:『ランメルモールのルチーア』~「狂乱の場」はパリ版が使われておりフランス語で歌われている。

DISC1:
ドリーブ:『ラクメ』~「鐘の歌」
オッフェンバック:『ホフマン物語』~「森の小鳥はあこがれを歌う」
マイアベーア:『ディノラ』~「影の歌」
マスネ:『マノン』~「私が女王のように町を行くと」
グノー:『ロミオとジュリエット』~「私は夢に生きたい」
シャブリエ:『いやいやながらの王様』~「ジプシーの歌」
ドニゼッティ:『連隊の娘』より
ドニゼッティ:『ランメルモールのルチーア』~「狂乱の場」
オッフェンバック:『天国と地獄』より
オッフェンバック:『ロビンソン・クルーソー』より

DISC2:
モーツァルト:『魔笛』~夜の女王のアリア(第1幕)
モーツァルト:『魔笛』~夜の女王のアリア(第2幕)
モーツァルト:テッサリアの民よ
ヘンデル:『愛の妄想』より 
R.シュトラウス:『ナクソス島のアリアドネ』~「偉大なる王女さま」
J.シュトラウス:ワルツ『春の声』
ラフマニノフ:ヴォカリーズ
アリャビエフ:夜うぐいす
ストラヴィンスキー:『ナイティンゲール』~「ナイティンゲールの歌」
アヴェ・マリア~映画『戦場のアリア』より
モンク/ヌーガロ:ラウンド・ミッドナイト
バーンスタイン:『キャンディード』より

このようなデセイの十八番をまとめて聴いてみると、彼女が当代随一のコロラチューラ・ソプラノではないかと思える。1曲歌うだけでかなり喉や体力を使うので、生でこのような有名なオペラアリアだけを一人の歌手が次から次へ歌うのは物理的に無理だ。CDなどの録音パッケージのありがたみを感じる。音質も良く、オーディオ的にも満足できる。このCDは、録音が自然でダイナミックレンジも広いので、再生環境が良ければ良いほどその良さがわかるだろう。

この2枚組のCDが721円というのは信じがたい。ケースはプラスチックではなく厚紙で出来たデジパック版で、28ページに及ぶカラーでのナタリー・デセイのオペラでの写真を含む解説書が付いていた。おそらく、この値段では赤字だろう。クラシック、特にオペラものなどは売れないのだろうな、と思う。クラシック音楽のCDはビジネス的には終焉が近いのではないかと思わせる。

この手の音楽はBGMには向かない。必ず聴き手が音楽に集中するようにしなければ聴いていられない。また、静かな環境で、ある程度音量の出せる状況でないとダイナミックレンジが広くてその良さがわからない。そういう環境が無いのであれば、ヘッドホンで聞くしかないだろう。また、車の中でカーステレオで聴いても、エンジン音などの暗騒音が大きすぎ、静かになったときの細かいデリカシーみたいなものが聴き取れず、つまらないし音楽の良さがわからないと感じるだろう。

LPからCDになって何が一番変わったかというと、便利になったために聴き方も部屋で音楽に対峙しながら聴くのではなく、手軽にながら聴きすることが多くなった。CDになって便利になった反面、このようなシリアスな音楽が一般のパッケージ音楽リスナーにますます受けなくなったのだと思う。POPSなどのCDでは、カーステレオで聴いても聴きやすいように、わざとダイナミックレンジを狭め、ミニコンポやラジカセで聴くとちょうど良いように、低音と高音を持ち上げた音作りがなされているものが多い。

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2013年2月 2日 (土)

ブラームス ヴァイオリン協奏曲 / ミルシテイン (三つのスタジオ録音 :LP)

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このような英国初期LPレコードを入手した。1960年ごろのステレオ初期録音で、アナトゥール・フィストゥラーリ指揮、フィルハーモニア管のもの。この音源は、現行発売のEMIの8枚組CDボックスの中に入っている。ただし、音質はLPレコードと比べて完全には納得できるものではない。また、英国初期LPは高価なため、今までは、下の西ドイツ再発盤を聴いていた。

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この盤は再発盤にしては音質が良くて長年聴いてきたが、英初期盤を聴いてしまうと、その香気があるような美しい品性のある音質に劣っているのがわかってしまって、どうやらお払い箱になりそうだ。

ミルシテインは、ブラームスのスタジオ録音を3種残した。あと2つも載せてみよう。

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1953/4年ごろのモノラル時代のウィリアム・スタインバーグ指揮、ピッツバーグ交響楽団の上のものと、1970年代にドイチェ・グラモフォンに残したオイゲン・ヨッフム指揮ウィーンフィルの下のだ。

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これらは、録音した年代や、指揮者、オーケストラが違うので、相当に異なって聴こえる。同じ演奏家のものでも、音楽の解釈の変化はあって年齢と共に変わるので、録音順に聴いてみても面白い。いずれもカデンツァはミルシテインの自作のものが用いられている。昔の演奏家はカデンツァを自分で創っていた人が多かったが、今はそういう人は少なくなった。ブラームスのヴァイオリン協奏曲の場合には大半がヨアヒムのもので、あとはクライスラーのものがわずかに演奏されるのみであるが、名曲「パガニーニアーナ」を作曲したミルシテインのカデンツァは、これらに決して劣るものではない。

年齢からいうと、50歳ごろ、50歳代後半、70歳過ぎであるが、ミルシテインは70歳過ぎてもテクニックは衰えていない。どの演奏も過剰にテクニックをひけらかさず、過剰な感情移入も避けている。オーケストラのスケールの大きさ上手さではオイゲン・ヨッフム指揮ウィーンフィルが一頭ぬきんでていて、ミルシテインはそれに一歩も引かない素晴らしい独奏を繰り広げている。アナトゥール・フィストゥラーリ指揮フィルハーモニア管のは美しい品性のある独奏が一番際立っている感じがして好きだ。一番古いモノラル時代のスタインバーグ指揮ピッツバーグ交響楽団のものはキレ良くバリバリ弾いているが、やはりヴァイオリンの貴公子と呼ばれただけの気品がある。オリジナルに近いLPで聴く限りでは録音の古さは気にならない。音質は一番最後のものが一番良いのでCDで出来るだけ音質良く楽しむのならこれだが、オリジナルに近いLPで聴くと、その時代の音がして、どの演奏も棄てがたい魅力がある。

CDやLPなどのパッケージソフトで音楽を楽しむのは、本で文字を読み小説などを楽しむのとは違う。まず、再生してみて音になったものを耳で聴いてはじめて鑑賞できるわけだから、パッケージの音質や再生装置の違いなどで聴き手が受ける感銘まで変わってしまう。最近では、ヒラリー・ハーンのメンデルスゾーンのCDでそういった経験をしたので、ますますソフトや再生装置にこだわって名演奏を楽しみたいと思うようになった。

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