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2019年11月 5日 (火)

ワーグナー 楽劇「ワルキューレ」第一幕/ワルター、ウィーンフィル

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過日、ワーグナーが好きな知人から、聴き比べて感想を聞きたいとこの2枚のCDを渡された。1935年録音のSPの復刻盤であるが、上はEMIの正規盤、下は市販されたSP盤をかけてデジタル化したオーパス蔵が出したもので、こちらは第二幕の抜粋も含まれた2枚組のもの。

EMIの正規盤は、SP盤のスクラッチノイズなどはなるべく消去して音を整えた感じ。対してオーパス蔵盤は、SP盤のサーっというノイズを消さず、そのままデジタル化したようなCDである。私的にはSP盤のノイズは気にならないのでSP盤を聴いているようなオーパス蔵の方が雰囲気が味わえると思うのだが、EMIの正規盤の方が歌手の声の音像が中央にコンパクトにまとまり、人によってはこちらの方が聴きやすいという感じもある。

演奏はとても素晴らしいもので、古い録音ではあるができるだけ良い音で聴きたいという欲求に駆られるのも仕方がないと思う。ブルーノ・ワルターの指揮は全く緩みがなくウィーンフィルの美しさも彷彿させられるもので、何よりも、ラウリッツ・メルヒオール(テノール:ジークムント役)とロッテ・レーマン(ソプラノ:ジークリンデ役)の二人の歌がとてつもなく素晴らしい。この録音が第一幕だけが完全に残されただけというのは惜しいと思うのは私だけではあるまい。

また、古い音源は著作権が切れているので、どこのレーベルがどのような復刻の仕方でCD化したのかによっても音質が相当に変わり、聴き手の感銘にも差が出てしまうことはあり得る。そんな中、この音源のLPの復刻盤を入手して聴いてみた。

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これは、1963年に復刻発売された英国盤のLPレコードで、「ワルキューレ」第一幕のみがLPレコード1枚に収められている。両面で60分を少し超えるが元がSPレコードの復刻ということもありダイナミックレンジも広くないため、詰め込みすぎという感じはない。むしろ、知人から借りたCDよりも中域の厚みがありSPレコードの雑音は少ない。加えて、リブレットの資料的価値もこのLPレコードの方が高い。

ブルーノ・ワルター、ロッテ・レーマン、ラウリッツ・メルヒオール、エマヌエル・リストの写真もあった。

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1935年の録音であるが、このLPレコードに限って言えば、私的には1950年代のモノラル録音の音源と比べてもそんなに遜色はないと感じる。当時のクラシックの録音は思ったより良い。また、当時は良い指揮者や歌手が多く居たので良い演奏が多く残された。それが戦争のために1940年代はかなり少なくなった。ワルターはアメリカに亡命を余儀なくされたが、オーケストラの団員もユダヤ人は辞めて亡命せざるを得ない人が出て、質そのものも落ちたのは覆い隠せない。もし、戦争が無かったら、「ワルキューレ」の全曲をワルターの指揮で完成できた可能性が高かったのではないか。1950年代になると戦争の影響は少なくなり、黄金時代が復活する。1960年代になると戦前に活躍した指揮者の多くが亡くなるが、録音が良くなり多くの名演奏が良い音質で残された。録音の質を抜きにすれば、1930年代は1950年代よりもさらに良い時代だったのだと思うし、この録音はその一つの遺産である。


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