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2020年2月21日 (金)

ワーグナー 神々の黄昏/ショルティ、ウィーンフィル(EsotericSACD/CDハイブリッド盤)

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「神々の黄昏」も2枚ずつ2セットの合計4枚に収められている。LPレコードが6枚12面だから、ディスクの取替はずっと楽だ。長いけれども、退屈することなく聴ける音楽である。主要な登場人物は当時の最高の歌手で固められていてどの役も素晴らしいが、特に優れていると感じるのは、ブリュンヒルデ役を歌っているビルギット・ニルソンである。

しかし、ニルソン本人は、最初にこのLPレコードのテストプレスを聴いた時には、自分の声が聴こえないという理由で激怒していたらしい。詳細は、RING RESOUNDING /JOHN CULSHOW  ニーベルングの指環 リング・リザウンディング/ジョン・カルショウ著 山崎浩太郎訳に書いてある。

要は、ジョン・カルショウら、DECCAのレコーディング・スタッフたちは、このLPレコードのテストプレスが出来上がった段階で、ニルソンの歌声があまりにも素晴らしく響くので、当時、ニューヨークに滞在していたニルソンに送って聴いてもらうことにした。しかし、それを聴いたニルソンは、このレコードは聴くに耐えらず、自分の声がか弱いパミーナ(モーツァルトの魔笛のリリック・ソプラノが歌う役)のように聴こえると言ったそうだ。おそらく、滞在先の装置のバランスが悪くてそのように聴こえたのだろう。後に別の環境でこのレコードを聴いてもらい、ニルソンは、やっと自分の声が素晴らしい音で記録されていた事に納得したらしい。もし、納得してもらえなかったなら、これ以降、ニルソンはDECCAでのレコーディングをしなかった可能性すらあった。

どんな装置でどんな環境で聴いても聴ける音楽は一緒だが、時と場合によっては、受け取られる印象は大きく変わる。書籍で小説を読む場合、ハードカバーの立派な本でも文庫本でも受け取る文字情報は同じであるから装丁自体はどうでも良い。しかし、LPレコードやCDで音楽を聴く場合には、再生装置や部屋などの環境によって、楽しめる音楽も楽しめなくなる場合も起きうるのである。

ショルティの「ニーベルングの指輪」は、劇場で観るのとは違う音響効果があって、レコードでしか表現できないような感じに仕上がっている部分もある。自宅で映像なしでオペラを聴く場合、音楽が捻じ曲げられていなければ、録音しレコードを発売する側はそういうやり方もあるのだとは思う。この録音が発売になってから半世紀以上が経つが、歌手の水準の高さや録音の良さを考えると、これ以上の「ニーベルングの指輪」の録音は今後も行われることは難しいと感じる。それだけに、このSACD/CDハイブリッド盤のセットは貴重である。


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