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2022年5月20日 (金)

ヴェルディ 歌劇「椿姫」全曲/セラフィン、ローマ歌劇場、ロス・アンヘレス他(TOWER RECORDS Definition Series SACD/CD)

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トゥリオ・セラフィン(指揮)ローマ歌劇場管弦楽団

ヴィオレッタ:ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(ソプラノ)
アルフレードカルロ・デル・モンテ(テノール)
ジェルモン:マリオ・セレーニ(バリトン)他

【録音】1959年 

2022年4月にタワーレコードから発売された2枚組のSACD/CDハイブリッド盤。ハードカバーの装丁、対訳リブレット付きで800組限定。ジャケ裏には800組中の何番かのシリアルナンバーが付く。ジャケットデザインは再発盤のものが使われていて、対訳の表紙がオリジナルのジャケット・デザインである。

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「椿姫」の数ある全曲盤の中で、個人的に一番好きなのが、この録音である。カルロス・クライバー盤も有名で良いとは思うし、一番最初に聴くべき「椿姫」。しかし、クライバー盤は、バイエルンというドイツの歌劇場の演奏であるので、イタリア・オペラなのにイタリア的な味わいが薄い。だから、クライバー盤だけ聴いて良しとしないでいただきたい。歌手もクライバー盤はインターナショナルで国籍不明な感じ。このセラフィン盤はラテン系の歌手を多く採用していて、イタリア・オペラ的に違和感が無い。全幕にわたって素晴らしいのはロス・アンヘレスのタイトルロールの歌である。セラフィンとローマ歌劇場は、セラフィンの統率、オーケストラ、合唱共に全く不満がない。

この録音は長いこと不遇であった。従来のCDは音質はいまいち。しかし、このSACD/CDハイブリッド盤の音質は素晴らしい。SACD層は声の質感や弦楽器のしなやかさが際立つが、CD層を聴いてもその良さはわかり、むしろ力強い音質という意味であればよりCD層の方に感じる。

60年以上前の録音なのにマスターの劣化があまり感じられず、鮮明で美しい。音場も自然である。解説書の中に、この「椿姫」は、当企画(TOWER RECORDS Definition Series)で復刻したオペラ全曲盤の中でも秀逸な録音です。マスターテープの状態はかなり良く・・・云々とある。これについては全く賛同する。例えば、同時代に録音されこのシリーズで発売されたクリュイタンスのベートーヴェン交響曲全集などより鮮度は保たれており、音質はこちらがずっと上である。オーディオ的に優れた音質であり、EMIの音が悪いと思っている人にぜひ聴いてほしい。

以下は手持ちのオリジナル盤

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この機会にSACD/CD盤とこのオリジナル盤を聴き比べた。このオリジナル盤の状態はすこぶる良くノイズはとても少なく音質も素晴らしく、トラッドな音質で楽しもうと思えばオルトフォンのSPUで良い音質で聴けるし、最新のハイテクカートリッジで聴けば、弦楽器や声の質感はSACDを上回り、声の定位や口の大きさがSACDよりも小さく濃くなり現代的な音質で聴ける。前後の定位感はSACDよりこの盤の方が良い。しかし、SACDの方が左右の音場は広く展開し、低域がより低いところまでよく伸びていてオリジナル盤では若干、レンジの狭さを感じる。この名演奏が同一音源のオリジナル盤とSACDで、それぞれが非常に高いレベルの音質で楽しめ、とても嬉しい。とても60年以上前の古い録音とは信じがたい。

以下は、オリジナル盤に入っていたイタリア語/英語の対訳。当時のEMIのオペラ全曲盤の対訳は別売りで、この冊子は5シリングの価格だった。個人的には、この対訳のヴィオレッタ役のロス・アンヘレスの写真の方がオリジナル盤のジャケット写真より良い気がする。

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