音楽

2018年9月21日 (金)

“永遠なるケーナの巨匠”アントニオ・パントーハ・ベスト

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アントニオ・パントーハは、ケーナ吹きの大御所のような人であった。ペルーで生まれ、後にアルゼンチンに移住してフォルクローレやケーナの音楽を世界中に広めるのに貢献した。当時、中南米では、アルゼンチンのブエノスアイレスなどの都市部でしか音楽で食べていくことは難かったであろう。弟子に、有名なケーナ吹きであるウニャ・ラモス(この人も故人)という人もいた。

フォルクローレというのは民族音楽の事を言うが、日本では、中南米アンデス地方の民族音楽を指すのが一般的である。1970年代、サイモンとガーファンクルが「コンドルは飛んでゆく」をカバーして大ヒットしてから、フォルクローレはブームになった。このCDもその頃に録音された音源で、LPで発売されたものをCD1枚にまとめベスト盤のような形にしたのがこのCDである。

中南米アンデス地方の民族音楽の中でも、ボリビア、エクアドル、ペルー、アルゼンチン北部にまたがるインカ帝国の血を引く先住民の音楽と、スペインから来たラテン音楽が混ざり合って出来上がったものがその代表。アントニオ・パントーハの音楽は、ペルーの素朴な感じの中に、アルゼンチンのラテン的な感じがあって、先住民が多いボリビアの土臭いフォルクローレとはちょっと異なる。このCDでは曲によってはエレクトリックベースが使われたりしているので、100%土着の音楽では無い。また、娘であるマルタ・イネスの澄んだ高い声が特徴の歌が入っている曲もある。いずれにせよ、大御所のケーナが存分に楽しめるCDである。

このCDは1992年頃発売されたもので、アントニオ・パントーハが亡くなってしばらくして出たもの。1976年頃、「ケーナの真髄」というLPレコードをよく聴いていたこともあり、中古で見かけ懐かしくて購入してしまった。


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2018年9月18日 (火)

シベリウス 交響曲全集 管弦楽曲集/バルビローリ、ハレ管(TOWER RECORDS DEFINITION SERIES SACDハイブリッド盤)

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旧EMIのバルビローリ/ハレ管のシベリウスは、もはや古典的な名演奏、名盤であるが、TOWER RECORDS DEFINITION SERIESで5枚組のSACD/CDハイブリッド盤として1000セット限定で発売された。

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1000セットの何番目かはボックス裏にシリアルナンバーが打たれている。しかし、購入時には、帯に隠れて見えない。(この写真はシリアルナンバーを0000番に変えてある)

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ハードカバーのボックスに5枚のオリジナルジャケデジパック仕様のディスクが収められ、解説も詳しく豪華、持つ者にコレクションとしてふさわしい物になっている。

録音された1960年代後半は、EMIのクラシック音楽のアナログステレオ録音がほぼ完成に近づいていた時期のもので、英国初版のLPレコードを聴くとその良さが良くわかったのだが、今回発売されたSACD/CDハイブリッド盤は、リマスターも良くて音質がよく、バルビローリの音楽性が良くわかる。一聴して最近の別の指揮者の録音のものとは違った緩急の付け方、音の厚みや温かみのあるバルビローリならではの解釈と、その手兵であったハレ管の良さがわかるので、シベリウスの交響曲、管弦楽が好きな方ならぜひ聴いていただきたい。

マンチェスターという都市の伝統あるオーケストラでありながら、バルビローリが音楽監督に就任した時には団員の数も少なく、どこかの田舎町のオーケストラのような状態だったのを時間をかけてイギリス屈指のオーケストラに再興した。なので、ハレ管は、バルビローリの手兵として最も理解しあえるオーケストラであった。その得意中の得意なレパートリーの中に、シベリウスもあったのである。

録音されて50年を経ても、マスターの劣化は少ないのか、はてまたリマスターをしたJVCマスタリングセンターの杉本一家氏の腕が良いのかはわからないが、とても良い音質に保たれている。

気になる方は有るうちに手に入れておいた方が良い。


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2018年9月14日 (金)

CALLING THE MUSE ミューズ召喚 テオルボのための古い曲と新しい曲 /ブルーノ・ヘルストロッファー(アナログLP)

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優秀録音が多いα[ALPHA]レーベルから、テオルボ独奏を中心としたアナログLPが出たので買ってみた。

SIDE A
1.カプスベルガー(1580-1651):TOCCATA NONA 第9トッカータ
2.ヘルシュトロッファー:PERIVOLI BLUE ペリヴォリの青色
3.ピッチニーニ(1566-1638):PARTITE SOPRA QUEST'ARIA FRANCESEDETTA l'ALEMANA 「ドイツ風」の名で知られるフランスの歌にもとづくパルティータ(変奏曲)
4.ピッチニーニ:CORRENTE VI SOPRA L'ALEMANA
「ドイツ風」(の歌)による第6コルレンテ
5.ヘルシュトロッファー/スタンドリー:COMME UN BEFFROI 鐘楼のように

SIDE B
1.ヘルシュトロッファー:THANKS TOUMANI ありがとうトゥマニ
2.サティ(1866-1925):グノシエンヌ 第1番
3.カプスベルガー:TOCCATA UNDICESIMA 第11トッカータ
4.ヘルシュトロッファー:VOS LUTHS 君たちのリュート
5.ヘルシュトロッファー:CLAN 氏族

【演奏】
ブルーノ・ヘルシュトロッファー(テオルボ…スイス、モーリス・オッティガー 2009年製)
ローズマリー・スタンドリー(歌)…SIDE A:5
ミシェル・ゴダール(セルパン)…SIDE A:5
エメク・エヴチ(コントラバス)…SIDE A:5

【録音】
2017年9月

ブルーノ・ヘルシュトロッファーは、まだ若いテオルボ奏者。テオルボは、16世紀ごろからバロック期にかけて使われたリュートのような弦楽器で、14弦を持つものが多い。この時代にはテオルボのために書かれた作品も多い。

カプスベルガー、ピッチニーニなど17~18世紀の作曲家や20世紀初めのサティの曲に、演奏家自身が作曲したオリジナル曲を織り交ぜたテオルボ独奏曲が中心で、SIDE Aの最後の曲のみ歌やセルバン、コントラバスが参加する。極めて古い曲から最新の曲まであるわけだが、全く違和感がない。

ヘルシュトロッファー自作自演の曲の中ではSIDE B 1曲目、THANKS TOUMANI ありがとうトゥマニ が秀逸だと思った。聴いている途中で、ルイ14世に仕えたロベール・ヴィゼが作曲したテオルボ曲集 ハ長調のシャコンヌにメロディーやその展開の仕方が似ていて、現代曲なのにバロックの時代の曲に似ているじゃないか、と思った。

総じて、音質が良く鮮明なテオルボの繊細で深みのある音と綺麗な残響や音場が出来るLPレコードであり、オーディオファンに強くお薦めする。プレスも輸入盤としてはまずまずであった。ただ、紙製の内袋にそのままLPレコードが突っ込んであるので、綺麗にクリーニングして、ポリエチレン製の内袋の中に入れた。二千五百円以下で買えるのでリースナブルだ。


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2018年9月11日 (火)

ドヴォルザーク チェロ協奏曲/ロストロポーヴィチ、小沢、ボストン響(96kHz/24bit FLAC)

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e-オンキヨーで、9月15日までワーナーミュージック・ジャパン 夏のクラシックセールというのをやっていて、このコンテンツが目に付いた。この音源は、LPレコードでも持っていて、だいぶ前にCDで買った事があったが、LPのような弦の響きが出てこず、音楽自体もCDだとつまらなく感じたのでLPだけを残していた。

ロストロポーヴィチはドヴォルザークのチェロ協奏曲をスタジオ録音だけでも7回行っている。一番有名なのは、1960年代後半に、5回目に録音したカラヤン/ベルリンフィルと入れたドイチェ・グラモフォン盤だ。カラヤン/ベルリンフィル盤は、ロストロポーヴィチとカラヤン/ベルリンフィルの丁々発止がスリリングで良いのだが、この小沢/ボストン響盤は、7回目、すなわちロストロポーヴィチの最後に録音したドヴォルザークのチェロ協奏曲であり、ロストロポーヴィチ自身が、レコード会社のエラートに対して、今後、自身のドヴォルザークのチェロ協奏曲の録音は行わないと誓約し、一筆したためたほど自分自身で納得の行く録音であったらしい。

実際に、過去の録音のものは技巧的には素晴らしいが表現が過剰でいささか鼻につく感じがあったが、この録音では円熟した技巧と表現力で、この協奏曲の寂寥感や東欧的な雰囲気を良くかもしだしており、小沢/ボストン響のサポートもとても良く、素晴らしく練られた名演奏になっていて、7回のスタジオ録音の中でも出色の出来なのだ。なので、私は、この録音の方がカラヤン/ベルリンフィル盤より好きだ。

一緒に収録されているチャイコフスキー ロココの主題による変奏曲も素晴らしい。ただ単に技巧が優れているというだけではなく、緩急を自在にし、この曲のロマン的な部分をあぶり出しているし、小沢/ボストン響も素晴らしい。

1985年のデジタル初期の録音だから、このハイレゾが96kHz/24bitであっても、録音時のマスターは44.1K/16bitなはずで、いわゆるアップサンプリングされた偽レゾというやつだ。でも値段が¥1400足らずということで手に入れてみた。

偽レゾだと解っていても、音質向上は明らかに認められ、今後、かけるのが面倒なLPレコードでなくても楽しめるような音質であった。リマスターによる音質向上の影響が大きいのであろう。弦楽器の質感がCDとは大違いであるし、音場の出来方も薄っぺらにならない。興味ある方は、15日までに購入して聴いてみる事をお薦めする。

ワーナーミュージック・ジャパン 夏のクラシックセール(9月15日まで)

http://www.e-onkyo.com/feature/3156/


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2018年9月 7日 (金)

ビゼー カルメン全曲 ラトル ベルリンフィル(2SACD+DVD 国内盤)

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上:2SACD+DVD(国内盤) 下:通常CD2枚組デジパック(輸入盤)

ラトルのビゼー カルメン全曲は、すでに売り切れて新品では入手できないSACDも持っている。SACDは国内盤でDVD付きであった。DVD付きで2枚組のSACDが五千円程度というのは、国内盤にしてはリーズナブルな価格。

このDVDは62分のうち40分少々が演奏会形式での抜粋、あとはラトルやコジェナー、カウフマンへのインタビューで、もちろん、日本語の字幕もある。輸入CDやハイレゾには映像は無いので大きなアドバンテージだと思う。このDVDが有るだけでも持っていて損は無い。

さて、通常CDと44.1K/24bitFLACのハイレゾ、さらにこのSACDで音質比較をしてみた。通常CDもかなり音質は良いが、ハイレゾやSACDはそれを上回る。いずれも音場の広さはより広くなるし、SACDは滑らかな表現をして音がうるさくない。ハイレゾは緻密に高解像度な感じで、ややカチッと引き締まった表現をする。96Kや192Kのハイサンプリングでは無いのでSACDにかなり水を開けられる予想だったが、どちらを選ぶかは好みの範疇。それだけ44.1K/24bitFLACのハイレゾの音質が思ったより良かった印象。

SACD ≒ 44.1K/24bitFLAC > CD という感じ。

尚、通常CDはデジパック仕様だが、SACDは通常のプラケースに入ったもので、デジパック仕様の通常CDはコレクションとしてもコストパフォーマンスはとても良い。


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2018年9月 4日 (火)

ビゼー カルメン全曲 ラトル ベルリンフィル(44.1K/24bit FLAC)

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カルメン:マグダレナ・コジェナー
ドン・ホセ:ヨナス・カウフマン
ミカエラ:ゲニア・キューマイヤー
エスカミーリョ:コスタス・スモリジナス 他

サイモン・ラトル ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
ベルリン国立歌劇場合唱団 
ベルリン国立歌劇場少年少女合唱団  2012年録音

これは、CDですでに買って持っていて、CDについてはこちらに書いている。

http://musickp.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-e48e.html

CDだけ聴いていれば、かなり高音質で満足できるものだが、CDと、44.1K/24bit FLACを比較して、どの程度音質が違うのか、興味が有って入手してみた。

CDとサンプリング周波数は44.1KHzで同じであるが、結果的には16bitと24bitの差はかなり大きいと言わざるを得ない。細かい部分が44.1K/24bit FLACの方がより明瞭に聴こえ、より鮮明に聴こえるし、ホールの音の広がりや奥に展開する音場が広い。

この44.1K/24bit FLACのハイレゾは輸入盤の2枚組CDよりも安い。e-オンキヨーで9月15日まで割引きセールされている。CDの方はハードカバージャケットで、厚いカラーの解説書が付属して¥2200位なので、どちらも新しい録音のオペラ全曲としてはかなり安い。

歌手も揃っている上にベルリンフィルの緻密なアンサンブルが素晴らしく、現代の「カルメン」の名演奏にふさわしい。


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2018年8月31日 (金)

ブラームス交響曲第3番 ワーグナー トリスタンとイゾルデから(1954年4月27日)フルトヴェングラーRIAS録音選集14LP-BOXから

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フルトヴェングラーRIAS録音選集14LP-BOXの最後の14枚目は、A面:ブラームス交響曲第3番 第一~第三楽章 B面:第四楽章 ワーグナー トリスタンとイゾルデから前奏曲、イゾルデの愛の死 いずれも1954年4月27日の演奏。

ブラームス交響曲第3番 は、先日ご紹介した1949年12月18日の演奏と比べると、全体的にテンポが遅く、幾分おっとりとした感じとともに、噛んで含んで出すような所があり、厳しさみたいなものは減退している。第一楽章の演奏時間は1954年4月27日の方が2分半ほど短いが、繰り返しの部分を演奏していないからで、実際にはかなり遅く感じる。音質は、こちらの方が良いが、演奏の質の高さは1949年12月18日の方が上回ると思う。しかし、フルトヴェングラーの死の年のこの演奏も、最晩年の円熟とかまろみを感じることが出来る佳演である。

トリスタンとイゾルデから前奏曲、イゾルデの愛の死は、いずれも素晴らしい演奏。これがかなり良好な音質で残されていた事に感謝したい。この14枚組のLPセットの最後を飾るにふさわしいと思う。

14枚を続けて聴いてみて、改めてこのRIAS録音の14枚セットのLPレコードは、音質の良さと内容の良さがマッチしたもので、再発されたのも頷ける。


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2018年8月28日 (火)

ブラームス交響曲第3番(1949年12月18日) ハイドンの主題による変奏曲(1950年6月20日)フルトヴェングラーRIAS録音選集14LP-BOXから

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ブラームス交響曲第3番(1949年12月18日)の第一~第三楽章がA面に収録され、第四楽章とハイドンの主題による変奏曲(1950年6月20日)がB面に収録されている。

このブラームス交響曲第3番は、先日ご紹介した第4番と同様、EMIの正規ブラームス交響曲全集に収録されている演奏と同一である。音質は、このフルトヴェングラーRIAS録音選集14LP-BOXのものがずっと勝る。オーケストラの中低域の厚みや響きが充分にあり、ヴァイオリンのキツさが目立たない。ライヴらしい白熱した名演奏が、良い音質で蘇っていて、EMIから発売されたART版のCDよりもずっと良い。

ハイドンの主題による変奏曲はテンポの緩急が極端であるが、それがロマンチックで深い芸術性のある演奏に昇華されている。


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2018年8月24日 (金)

ブラームス交響曲第4番(1948年10月24日)フルトヴェングラーRIAS録音選集14LP-BOXから

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このブラームス交響曲第4番は、EMI正規のブラームス交響曲全集に収録されているのと同一音源である。録音は貧しいが超名演である。この14枚組のLPの出現で、私的に聴きやすく音質が向上したものが登場して、喜んでいる。この演奏1曲だけでも入手した価値があったと思う。

私が若い頃は、フルトヴェングラーはゆっくりなテンポで演奏するようなイメージが有ったが、このブラームス交響曲第4番の演奏だけ取り上げても、実際には、バーンスタインやバルビローリがウィーンフィルを振ったものの方がずっと演奏時間は長い。テンポは遅いところは凄く遅いところがあるが、早いところはちゃんと早いし、テンポが大きく変化するのである。それでいて引き締まって音楽の内面を深くえぐり出す。

このブラームス交響曲第4番がせめて1950年代前半の水準で録音されていたら、さぞやと思うが、仕方がない。しかし、従来の再発LPやCDよりも数段良い感じなので、私はこの演奏が、さらに好きになった。


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2018年8月21日 (火)

シューベルト交響曲第9番[グレート](1953年9月15日)フルトヴェングラーRIAS録音選集14LP-BOXから

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フルトヴェングラー/ベルリンフィルのティタニア・パラストでの1953年5月15日のライヴから、シューベルト交響曲第9番[グレート]である。

この曲は、LP10 B面:第一楽章  LP11 A面:第2楽章 LP11 B面:第3~第4楽章が収められているので、LP10 A面の未完成交響曲と合わせ、1953年5月15日のシューベルトの交響曲がLP2枚に収まっている。通常、シューベルト交響曲第9番[グレート]はLP1枚に入れてしまう所を1枚半3面に余裕を持ってカッティングしていることもあり、この演奏の音質はかなり良好である。

演奏は、やはりフルトヴェングラーらしく緩急自在で、普通の指揮者がこのようなテンポをとれば末端肥大だけが目立つのだが、ロマンチックで、雄大な演奏であるし、推進力もある。スタジオ録音には無いデモーニッシュで深遠な感じも受け、ライヴならではの白熱した緊張感も味わえる。この日のこれら2曲の演奏は、共に末永く残したいものである。


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