音楽

2019年12月 6日 (金)

ベートーヴェン 交響曲第3番 ワルター、コロムビア交響楽団(7SACD+2CD ベートーヴェン:交響曲全集から)

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2019年11月に発売されたステレオ録音のワルター/コロムビア交響楽団のベートーヴェン全集のSACDは、あちこちで物議を起こしているようである。一つは、田園交響曲の事前に発売されたサンプル盤と音質が違っていてサンプル盤の方が音が良いらしいこと。私はサンプル盤は買わなかったので、実際の所は良くわからない。

そしてもう一つは、解説書に落丁があり、正しい追加訂正部分がネット上で発表された。

不良内容:別冊解説書内 P.83 DISC9[3]の交響曲第4番第2楽章リハーサルのスクリプトと日本語訳の後半部分(music: m. 73)[演奏=第73小節]の後の英文25行とその対訳

https://www.sonymusic.co.jp/Music/International/files/SICC10286~94_TeiseiPera5.pdf

これをダウンロードして印刷するか、印刷ができない場合にはSony Musicに連絡すると欠落部分の印刷物を送ってくれる。これがごく普通の対応だと思うが、Tower Records Definition Series SACDで、クレンペラー指揮のモーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」の解説書に欠落があった時には、驚くべきことに解説書全部をそっくり印刷し直して送ってきた。改めてこの時のTower Recordsの対応が素晴らしかったと思った。

さて、この第3番「エロイカ」交響曲であるが、1990年代」後半にClassic Recordsという高音質復刻盤レーベルから出た180g重量盤LPと比べてみると、このSACD層の音質はやはり劣る。録音の古さが露わになってしまうのだ。Classic RecordsのLPレコードのマスタリングとカッティングを担当したのは、バーニー・グランドマンという腕利きのマスタリングラボで、レコード盤をプレスしたのは、現在でもトップクラスの高音質LPレコードをプレス出来るR.T.I.社である。SACDを買って聴き比べて、改めてこのLPレコードは宝物であるという思いを新たにした。

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だが、田園交響曲におけるAnaloge Productionsの高音質LPとこのセットのSACD層の音質差よりは少ない。田園交響曲はSACDだと1958年1月録音の古いマスターなのでより粗がわかってしまう感じだが、第3番「エロイカ」交響曲は1年以上後の録音であり、マスターはすっと良い状態で録音も良いのだと思う。ワルターのベートーヴェンの交響曲は第6番を代表とする偶数番号の交響曲の評価が高いが、私はClassic RecordsのLPレコードを聴いてからは、この第3番「エロイカ」交響曲も大変な名演奏であると思っている。ただ単に、優しさ慈しみのある均整のとれた都会的な演奏というのではない情熱や起伏の激しい情動をも、手にとるように感じることができるからだ。従来のLPレコードやCDを聴いてもそれを感じられ無かった。今回のSACDはその部分がある程度わかるので、このSACDを聴いてこの演奏の評価が変わったような人も居るのではないだろうか?それほどに、音質とかリマスターというのは演奏の評価まで変えてしまう。恐ろしいものだ。

また、今回のSACDの音質的優位性としては非常にワイドレンジで低域の伸びとその厚みのある音質はLPレコードでは出せないと思う。高域もよく伸びていて、田園交響曲やモーツァルトの交響曲の一部のような弦の音が固くて不自然に聴こえるような感じが少ない。


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2019年12月 3日 (火)

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲/フランチェスカッティ、ワルター、コロムビア交響楽団(7SACD+2CD ベートーヴェン:交響曲全集から)

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ブルーノ・ワルターのベートーヴェンSACDセットで真っ先に聴いたのは田園交響曲だが、それ以外のも順次聴いていって気がついたことは、ワルターがコロムビア交響楽団とステレオ録音をした1958年から1961年というのは、わずか3年という短い期間だが、この間に実は録音技術が相当に進歩していたのではないかということだ。タワーレコードが出したクリュイタンスのベートーヴェン交響曲全集でも、1958年に最初に録音された第九は音質が一番冴えずしかもテープヒスなどもより目立ったが、そのわずか数年後の録音のものはびっくりするほど音質が良い。

それで、このヴァイオリン協奏曲だが、録音年は1961年。田園交響曲と違って音の固さも感じられず、弦楽器の質感もずっと良い。モーツァルトのヴァイオリン協奏曲3,4番の録音は1958年で、やっぱりこのベートーヴェンの協奏曲とは音質がかなり劣るように感じられる。ワイドレンジだが低音の分厚さとエネルギーが感じられ、低音を膨らめたという感じではなく、元の録音されたマスターにこのように記録されていたのだと思う。こういう音質はLPレコードでは望めない。

ハイレゾデータからプレスされた180gの新しいLPレコードに関しては、以前にこのブログで書いた。1枚¥2000しない安価なLPレコードであるが、音質もプレスも良く音質的に概ね満足できるものだが、ヴァイオリンの音色が濃く提示されて魅力的だという事を除けば、今回発売されたSACDが勝るように感じた。

http://musickp.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/180glp-9798.html 

これが、LPレコードのジャケット写真。オリジナル盤のデザインとは全く異なる。

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2019年11月29日 (金)

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」ワルター、コロムビア管弦楽団(7SACD+2CD ベートーヴェン:交響曲全集から)

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2019年11月に発売になったベートーヴェン:交響曲全集 ヴァイオリン協奏曲 [7SACD Hybrid+2CD]<完全生産限定盤>から、届いて真っ先に聴いたのが、この田園交響曲だ。

LP時代から超名演奏として親しんできた。手元にはLPが2種、CDがボックスセットと単売されたBlu-spec CD2盤がある。LPだとAnalogue Productionsから出た200g重量盤の音質が圧倒的に素晴らしく、廉価なボックスセットの輸入CDとは全く比較にならないし、弦のにぎやかさが減退したBlu-spec CD2盤も満足できる音質ではない。Analogue Productions盤についてはこちらに書いている。

ベートーヴェン 交響曲第六番「田園」/ワルター、コロムビア交響楽団(Analogue Productions200gLP)
http://musickp.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/analogue-produc.html

今回出たSACDのセットは、新たにオリジナルアナログマスターから新しくリマスターされたもの。明らかに音の鮮度や解像度は向上しており、特にローエンドの厚みと伸びが素晴らしく、コントラバスの音色や低音の残響の質が手に取るようにわかる。また、Blu-spec CD2盤だと、弦楽器セクションの音が分離せず団子のように固まった感じだったのがほぐされて、各パートの音の重なりがとても良くわかる。念のためCD層も聴いてみたが、CD層はここまで音は良くない。木管楽器の質感がとても向上している。

ただし、1958年の古い録音だということもあって、マスターの劣化も聴いて取れる。ヒスノイズは多いが、あえて除去せずに残っているし、劣化した高域を伸ばしたためなのか、若干音に固さが感じられる。Analogue ProductionsのLPレコードだと、この固さがなく各楽器の質感がもっと良く聴こえるし、古い録音という感じがしないほど劣化した部分が目立たない。ゆえに、Analogue ProductionsのLPレコードにはかなわないが、手持ちのデジタルメディアの中では今回のSACDが一番高音質であると感じた。ワルターのステレオ録音のSACD化シリーズは全部手に入れよう。


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2019年11月26日 (火)

テレマン「食卓の音楽」全曲 ベルダー&ムジカ・アンフィオン

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このCDは2003年の録音、フランス・ブリュッヘンが主宰していた18世紀オーケストラのメンバーを中心に構成された名手ぞろいの古楽器オーケストラで、廉価盤レーベルのBrilliant Classicsから発売されたもの。現在は他のテレマンの作品が加えられ5枚組になって発売されている。新品で1枚あたり400円程度の安盤であるが、内容は凄く良い。なお、Brilliant ClassicsのCDは玉石混淆で、本盤のように素晴らしいものもあるが、音質も演奏もどうしようもなく悪いものもあるように思う。

この盤の演奏は素晴らしいし音質も自然でなかなか良いのだが、良い再生機器で聴くと、若干、音が薄くピラピラした感じがある。どうやら、CDの製盤の質が日本盤のように良くはないためのようで、リッピングしてWAVファイルにして再生させてあげたら、音が薄くピラピラした感じが減退した。やはり、元の音質はかなり良いようで、良い演奏がさらに引き立ったように思えた。


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2019年11月22日 (金)

Meditation(瞑想曲)/グリュミオー、ハイデュ

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[A面]
パラディス :シチリアーノ
モーツァルト :ロンド
グルック :メロディー(精霊の踊り)
グラナドス :スペイン舞曲集第5番「アンダルーサ」
クライスラー :美しきロスマリン
クライスラー :愛の悲しみ
クライスラー :愛のよろこび

[B面]
マリア・ヴェラチーニ :アレグロ
ヴィヴァルディ :シチリアーノ
ルクレール :タンブーラン
ベートーベン :メヌエットト長調
シューベルト :アヴェ・マリア
ドヴォルザーク :ユーモレスク
タイス :タイスの瞑想曲
チャイコフスキー :感傷的なワルツ

【演奏】
アルテュール・グリュミオー(ヴァイオリン)
イシュトヴァン・ハイデュ(ピアノ)
録音:1973年2月12-16日

このLPレコードは1973年に発売された「To my friends~ヴァイオリン小品集」の再発盤で、1980年代後半ごろオランダでプレスされたもの。ジャケットの裏面は日本語で書かれていて日本で発売されたのだが、ジャケットの印刷もオランダで行われた。グリュミオーのヴァイオリンは美しく気品があり慎ましく歌う。これら小品は本当に宝石のようだ。それがとてもいい音質で聴ける。

オランダで作られたGloriaシリーズのLPレコードは廉価盤ということもあって値段は安いのだが、音質はとても良くて、それまでの日本でプレスされたPhilipsレーベルのLPレコードよりも鮮明で、かつ、しなやかで上品な音質だった。このLPレコードだけではなく、イ・ムジチの古い音源のものも素晴らしい音質で、狂喜して買い求めた。もし、このシリーズの状態のいいLPレコードが安価で中古であったなら、ぜひ手に入れて聴いてみてほしい。

このレコードのオリジナル盤の復刻重量盤が発売されている。

https://tower.jp/item/4805610/

クライスラーの愛の悲しみ、愛のよろこびはオリジナルには含まれていなかったんだと知った。オリジナルのジャケットは手持ちの1980年代の再発盤とは絵柄が違うのだが、この1980年代の再発盤の音質にはとても満足しているので買わない。


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2019年11月19日 (火)

ワーグナー 楽劇「神々のたそがれ」/クナッパーツブッシュ、バイロイト祝祭管弦楽団他(1951年バイロイト)

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ブリュンヒルデ: アストリッド・ヴァルナイ(ソプラノ)
ジークフリート: ベルント・アルデンホフ(テノール)
グンター: ヘルマン・ウーデ(バリトン)
ヴァルトラウテ: エリーザベト・ヘンゲン(メッゾ・ソプラノ)
アルベリヒ: ハインリヒ・プフランツェル(バス)
ハーゲン: ルートヴィヒ・ウェーバー(バス)
グートルーネ: マルタ・メードル(ソプラノ)
ヴォークリンデ: エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
ヴェルグンデ: ハンナ・ルートヴィヒ(ソプラノ)
フロースヒルデ: ヘルタ・テッパー(メッゾ・ソプラノ) 他

バイロイト祝祭劇場管弦楽団・合唱団、(合唱指揮:ヴィルヘルム・ピッツ)
指揮:ハンス・クナッパーツブッシュ

録音:1951年8月4日〈ライヴ・レコーデング〉
レコーディング・プロデューサー: ジョン・カルショウ
レコーディング・エンジニア: ケネス・ウィルキンソン

1951年のバイロイト祝祭において当時のDECCAチームが録音したものの、契約の問題で日の目を見ずに倉庫で眠っていたテープからLPレコード化されたもので6枚組のセット。1999年に最初にCDが発売され、その数年後にLPレコードでも発売された。どちらも現在でも入手が可能である。

驚くべきは、録音の良さと演奏の凄さ。クナッパーツブッシュの指揮は壮大で、特に、ジークフリートの葬送行進曲から終幕までは天下無双な感じ。会場のざわめきもとてもリアルな感じで、とても1951年の録音とは思えない。私は、決してワグネリアンではないが、この演奏、このレコードは本当に素晴らしいと思う。もちろん、良くできたSTEREO録音時代のLPレコードとは違うけれど、録音から半世紀経って造られたLPレコードの音質とは到底思えないし、白熱した演奏も素晴らしいものだ。この録音を残したプロデューサーのカルショウと録音したウィルキンソンは良い仕事をしたなと思う。

なお、このLPレコードはモノラル盤だけれど、特別にモノラル用のフォノカートリッジを用意する必要はない。カッティングはSTEREO用のカッティングマシンを流用しているだろうし、現代の普通のレコード再生機器で上手く鳴るように作られている。フルトヴェングラーやワルター、そしてクナッパーツブッシュが現役だった時代は本当に良い時代だったのだなと思う。良い歌手が揃っていて、今のワーグナー演奏とはかなり違う。


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2019年11月15日 (金)

ヴィヴァルディ チェロ協奏曲他/フルニエ、バウムガルトナー、ルツェルン音楽祭弦楽合奏団他

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Side A
ヴィヴァルディ チェロ協奏曲
クープラン 演奏会用小品
ピエール・フルニエ(チェロ) ルドルフ・バウムガルトナー(指揮) ルツェルン音楽祭弦楽合奏団

Side B
ストラヴィンスキー イタリア組曲、ロシアの歌
ピエール・フルニエ(チェロ)  エルンスト・ルッシュ(ピアノ)

このLPレコードは、1964頃録音されたピエール・フルニエのチェロ独奏のもので、Side Aはバロック時代の弦楽合奏をバックにした気品があり優雅なチェロの美音が楽しめるもの。対してSide Bになるとストラヴィンスキーによるチェロとピアノの作品になって、Side AとSide Bではだいぶ雰囲気が異なる曲である。ただし、ストラヴィンスキーの「イタリア組曲」は、バレエ音楽「プルチネルラ」から引用されてチェロとピアノのための作品になったものだ。そして、ペルゴレージなどのイタリアの古典作品が引用されている。現代音楽ばりばりのイメージであるストラヴィンスキーであるが、イタリアの古典を引用していることで「プルチネルラ」やこの「イタリア組曲」は難解な感じはなくすんなりと耳に入る。

最近このレーベルのLPレコードを入手した。外周花輪のすぐ内側の文字がALLE HERSTELLER-UND~で始まるこのレーベルは1965年頃まで使われたので、この盤がオリジナルだと思われる。

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こちらは、以前から持っていたもの。外周花輪のすぐ内側の文字がMADE IN GERMANY BY~で始まるもので、1965年以降のもの。

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何で2枚買ったかというと、以前から持っていた盤は少しコンディションが悪くノイズが多かったので、コンディションの良いものが出てきたなら買い換えようと思っていたから。買ったばかりのオリジナル盤と思われる方は、気になるノイズも無く安心して音楽に没頭できる。なお、ジャケットの絵柄は両方とも同じだが、オリジナル盤と思われる方はラミネートコートが無くジャケ裏右隅は7/65の文字があるので1965年7月発売のものとわかる。対して以前から持っていた盤のジャケットはコーティングされツヤがあってより美しい。ジャケ裏右隅に製造年代の表記はない。

ノイズを抜きにすればどちらも音質は良いが、オリジナル盤と思われる方がや柔らかい音がするが若干レンジが狭く感じる。対して以前から持っていた後発盤の方はより鮮明でFレンジが広いが若干硬質な感じがする。この盤についてはどちらも良好な音質であるので、聴くために手に入れるのであれば初版じゃなければというこだわりは要らないと思う。


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2019年11月12日 (火)

ペルゴレージ スターバト・マーテル/グラチス、ナポリ・スカルラッティ管弦楽団

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これは、アナログ録音時代のペルゴレージ スターバト・マーテルの名演奏で、1972年の録音。独唱者のミレッラ・フレーニとテレサ・ベルガンサの歌が素晴らしいので、現在でも生命力を失っていないものだと思う。近年は、古楽器の演奏で、独奏者もビブラートを多用しない歌い方で歌われるものが多くなったのだが、この演奏はモダン楽器のオーケストラで、独唱者はビブラートやポルタメントを多用した歌い方をしている。しかし、1曲目の「悲しみに沈める聖母は涙にむせびて」を聴くと、本当に鎮痛な悲しみを感じるし、本当にこの2人の歌は素晴らしい。最後の「アーメン」は派手目でちょっと聴くとイタリアオペラを聴いているような感じもする。

音質は、1970年代の西独プレスのARCHIVレーベルのLPレコードらしいもので、飾り気のない朴訥な音質で、カートリッジやレコードプレーヤーを選んでしっかり調整しないと良い音質にならない。そういう意味で再生は難しいと思う。でも、上手く鳴ったときはとても良い音質である。

 

ユーチューブを検索すると、このように全曲が普通に聴ける。


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2019年11月 8日 (金)

ワルター モーツァルト&ハイドン:交響曲集・管弦楽曲集 (5SACD Hybrid+1CD)

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2019年11月に発売になったワルターのステレオ録音の復刻SACD/CDハイブリッド盤のセット。届いてすぐに聴き始めたが、安価なCDのセットに比べれば平面的な感じは改善され中域も充分に厚みがあるように感じる。この盤のSACD層の音質は、おそらく既発売の普通のCDの何れよりも高音質だと思う。しかし、弦の音がややきつく刺々しい感じが残っていて、弦の音色に関しては期待の大きさの割に音質の改善は大きくない。ちなみに、お気に入りのプラハ交響曲を聴いている時にはついに我慢が出来なくなって、LPレコードをひっぱり出してきて聴くことになってしまった。手持ちのLPレコードはNew Remixed Masterの1982年発売のCBS Sony盤である。私の試聴環境ではLPレコードの方が弦の音がしなやかで美しく響き圧倒的に聴きやすい。何で、最新のSACDがLPレコード以下の音質にしかならないのだろう。腹が立つやら、情けないやら、ちょっと泣きたい気分だ。

ヴァイオリン協奏曲では、2枚のLPレコードについては以下のリンク先に書いているが、古い1960年代のLPレコードは、低域、高域の両端をカットし、高域の少し下を持ち上げているというのは、聴き比べるとよく分かる。

モーツァルト ヴァイオリン協奏曲 第3番、第4番/フランチェスカッティ、ワルター、コロムビア交響楽団

http://musickp.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-1e12b6.html

しかし、フランチェスカッティの独奏ヴァイオリンの音色は、手持ちの米国2版のLPレコードだけでなくNew Remixed Masterの1982年発売のCBS Sony盤にも劣る。通常CDと比べるとヴァイオリンの不自然なにぎやかさが減退しているが、弦を擦るような潤いに満ちたビビッドな感じがこのSACDでは出てこないのが大きな不満だ。それは独奏ヴァイオリンだけではなくオーケストラの弦セクションにも言えることだが。

ワルターのステレオ録音で感激したのは、Analogue Productionsの復刻LPレコードで、それはもう、鮮度の点でも楽器の音色でも全く申し分の無い音質で素晴らしかった。ここまでの音質は無理でも、それに近い水準の復刻を期待していたのに残念だ。この復刻盤と比べると、音質的には足元にも及ばないレベルでしかない。

ベートーヴェン 交響曲第六番「田園」/ワルター、コロムビア交響楽団(Analogue Productions200gLP)
http://musickp.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/analogue-produc.html

ただし、今回の復刻はワルターのステレオ録音が全てSACD化されるのと充実した日本語のリブレットが付くので、両手を挙げて素晴らしいとは言えないけれど、このシリーズは全部手に入れようと思う。


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2019年11月 5日 (火)

ワーグナー 楽劇「ワルキューレ」第一幕/ワルター、ウィーンフィル

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過日、ワーグナーが好きな知人から、聴き比べて感想を聞きたいとこの2枚のCDを渡された。1935年録音のSPの復刻盤であるが、上はEMIの正規盤、下は市販されたSP盤をかけてデジタル化したオーパス蔵が出したもので、こちらは第二幕の抜粋も含まれた2枚組のもの。

EMIの正規盤は、SP盤のスクラッチノイズなどはなるべく消去して音を整えた感じ。対してオーパス蔵盤は、SP盤のサーっというノイズを消さず、そのままデジタル化したようなCDである。私的にはSP盤のノイズは気にならないのでSP盤を聴いているようなオーパス蔵の方が雰囲気が味わえると思うのだが、EMIの正規盤の方が歌手の声の音像が中央にコンパクトにまとまり、人によってはこちらの方が聴きやすいという感じもある。

演奏はとても素晴らしいもので、古い録音ではあるができるだけ良い音で聴きたいという欲求に駆られるのも仕方がないと思う。ブルーノ・ワルターの指揮は全く緩みがなくウィーンフィルの美しさも彷彿させられるもので、何よりも、ラウリッツ・メルヒオール(テノール:ジークムント役)とロッテ・レーマン(ソプラノ:ジークリンデ役)の二人の歌がとてつもなく素晴らしい。この録音が第一幕だけが完全に残されただけというのは惜しいと思うのは私だけではあるまい。

また、古い音源は著作権が切れているので、どこのレーベルがどのような復刻の仕方でCD化したのかによっても音質が相当に変わり、聴き手の感銘にも差が出てしまうことはあり得る。そんな中、この音源のLPの復刻盤を入手して聴いてみた。

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これは、1963年に復刻発売された英国盤のLPレコードで、「ワルキューレ」第一幕のみがLPレコード1枚に収められている。両面で60分を少し超えるが元がSPレコードの復刻ということもありダイナミックレンジも広くないため、詰め込みすぎという感じはない。むしろ、知人から借りたCDよりも中域の厚みがありSPレコードの雑音は少ない。加えて、リブレットの資料的価値もこのLPレコードの方が高い。

ブルーノ・ワルター、ロッテ・レーマン、ラウリッツ・メルヒオール、エマヌエル・リストの写真もあった。

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1935年の録音であるが、このLPレコードに限って言えば、私的には1950年代のモノラル録音の音源と比べてもそんなに遜色はないと感じる。当時のクラシックの録音は思ったより良い。また、当時は良い指揮者や歌手が多く居たので良い演奏が多く残された。それが戦争のために1940年代はかなり少なくなった。ワルターはアメリカに亡命を余儀なくされたが、オーケストラの団員もユダヤ人は辞めて亡命せざるを得ない人が出て、質そのものも落ちたのは覆い隠せない。もし、戦争が無かったら、「ワルキューレ」の全曲をワルターの指揮で完成できた可能性が高かったのではないか。1950年代になると戦争の影響は少なくなり、黄金時代が復活する。1960年代になると戦前に活躍した指揮者の多くが亡くなるが、録音が良くなり多くの名演奏が良い音質で残された。録音の質を抜きにすれば、1930年代は1950年代よりもさらに良い時代だったのだと思うし、この録音はその一つの遺産である。


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